2006年1月9日

イスラエルのシャロン首相が先週脳溢血で倒れ、3回にわたる手術を受けました。欧州では、和平プロセスに深刻な影が落ちるという見方が強まっています。シャロンは現在、イスラエル国民からかつてのベングリオン以来といわれる強い支持を得ています。シャロンの最も有名な写真は、血のついた包帯を頭に巻いて、幕僚とともに地図にかがみこんで、前線で作戦会議をしている様子を撮影したものです。

六日間戦争で、スエズ運河を渡河する電撃作戦を指揮した、「暴れん坊将軍」として知られてきたシャロンが、2年前に突然パレスチナ国家の樹立を認めて、ガザ地区からのユダヤ人住民の排除を行い、完全撤退を実現させたことは、イスラエルでも欧州でも、一種の畏敬の念を持って見られています。いったい何がタカ派首相をして、ヨルダン川西岸の85%を放棄する決定を行わせたのでしょうか。その答えを、世界が本人から直接聞くことは、おそらく不可能になったようです。